ハイエンドモデルのカメラはそれぞれ個性が出る
スマートフォンの最重要機能の1つと言っても過言ではないカメラ。それだけに多くのメーカーがカメラの開発にとても力を入れており、中でもハイエンドモデルはその傾向が顕著だ。
実際、最近ではデジタルカメラを凌駕し、プロユースにも耐え得るとも言われるとの評価を受ける機種が増えている。一方でその値段は20万円近いものが増えるなど非常に高く、撮り比べできる場所も限られることから、各機種の違いや特徴を知り、どの機種のカメラが自分のニーズに合っているのかを見極めるのは難しい。
そこで本記事では、2024年秋以降に発売された比較的新しいスマートフォンを対象に、実際に撮影して比べてみたいと思う(ロケはXperia 1 VII発売前なのでXperia 1 VIIは入っていない)。
今回対象とする機種は以下の6機種であり、それぞれのカメラの特徴を簡単に記しておく(アルファベット順)。
AQUOS R9 Pro/シャープ
1インチ超の大型イメージセンサーを採用し、ライカの監修を受けている点は従来と変わらないが、カメラの構成が広角・超広角・望遠の3眼に変化し、撮影しやすくなった。14chスペクトルセンサーの搭載で見たままの色味を再現できるのに加え、新たにシャッターボタンを搭載したのも大きなポイントだ。
Galaxy S25 Ultra/サムスン電子
広角・超広角に加え、光学3倍・5倍相当という2つの望遠カメラを搭載。望遠カメラを駆使して最大10倍までのロスレスズームが可能であるなど、ズーム性能に力が入れられているほか、超広角カメラも約5000万画素に進化。「Sペン」や「Galaxy AI」の活用による写真の加工も特徴だ
iPhone 16 Pro Max/アップル
従来のProシリーズ同様、広角・超広角・望遠カメラという3眼構成ながら、超広角カメラのイメージセンサーが4800万画素、そして望遠カメラが光学5倍相当に進化。撮影シーンの幅が広がっただけでなく、新しいインターフェース「カメラコントロール」による操作も大きな特徴となっている。
OPPO Find X8/オッポ
老舗カメラメーカーのハッセルブラッドが監修した約5000万画素の3眼カメラを搭載。望遠カメラには独自の「W型プリズム」を採用し、光学3倍相当の望遠を実現しながら薄さも両立しているうえ、200枚の高速連写ができる「ライトニングスナップ」といった機能も備えている。
Pixel 9 Pro/グーグル
いずれも4800万画素超のイメージセンサーを採用した広角・超広角・望遠の3眼カメラと、グーグルが得意とするAI技術の活用により、暗い場所や望遠撮影などでも綺麗な写真を簡単に撮影できる。「編集マジック」などAIを活用した写真編集機能が充実しているのも大きなポイントだ。
Xiaomi 15 Ultra/シャオミ
ライカカメラと共同開発した4眼カメラを搭載しており、広角カメラには1インチセンサーを搭載するほか、望遠カメラの1つに2億画素超のイメージセンサーを採用。遠方の被写体をより綺麗に撮影できるようになったほか、別売りの「Photography Kit」でよりカメラらしい撮影も可能になる。
なお、撮影比較は以下の4つのシーンで実施。6機種ともにOS、アプリを執筆時点で最新の状態にアップデートしたうえで、同じ場所・同じ時間帯で“標準のカメラアプリを初期設定”の状態で用い、撮影するというシンプルな方法を取っている。
4つの作例×6機種
・標準(等倍)
・超広角
・夜景
・10倍ズーム
標準撮影はいずれも高精細だが色合いに違い
まずは標準状態で撮影した写真の作例を比較してみよう。各機種のメインとなる広角カメラを用いた撮影となることから、各社のカメラ性能と個性を確認できるだろう。
撮影当日は曇天ということもあり、Pixel 9 Proがやや暗めに見えるのだが、総じて綺麗に撮影できている。いずれのカメラも性能が高く、ソフトウェア処理にも力を入れているだけに、格子や遠方の葉っぱなど、細かな部分のつぶれなどは生じておらず、色飛びも見られない。
ただ、色合いには違いがあり、日米メーカーは自然な色合いを重視し画作りもソフトな傾向にあるのに対し、中韓メーカーは明るい色合いでくっきりした画作りを好むという従来の傾向は、これら6機種にも影響している。とりわけ色合いが強い花などはその傾向が強く、あくまで筆者の主観となるが、Galaxy S25 UltraやOPPO Find X8などは花の色合いが際立つ感がある。
一方で、同じライカ監修のAQUOS R9 ProとXiaomi 15 Ultraは色合いや絵作りが比較的近い印象を受けるが、それでもはやり赤が強い花などは、Xiaomi 15 Ultraの方がより強い色合いとなっており、微妙な性格の違いを見て取ることができるだろう。
超広角でもゆがみなく高品質の撮影が可能
続いて超広角カメラでの撮影写真の比較をしてみたい。こちらは機種によって超広角カメラの画角と倍率に違いがあり、同じ場所から撮影しているのだが、必ずしも同じ画角になるわけではないことをご了承頂きたい。
超広角カメラで主に気になるのは側面の歪みだが、さすがハイエンドモデルだけあって、いずれのカメラも大きな歪みは見られない。OPPO Find X8の歪みが小さい印象があるが、そのぶん画角も狭いことは考慮する必要があるだろう。
また最近のハイエンドモデルでは、超広角カメラに5000万画素クラスの高性能なものを採用するようになってきている。それゆえ各機種とも、広角カメラと画質や色合いなどの傾向は大きく変わらない。
実際AQUOS R9 Proは比較的ソフト、OPPO Find X8などはシャープで明るい印象に仕上がっている。細部の表現はiPhone 16 Pro Maxがよりドライでくっきりしているぶん、表現に優れている感もあるが、どの機種も総じて悪くない印象だ。

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