千葉工業大学と大学生向けのキャリアパスポート発行サービスを運営するDOUは5月12日、国内初となる「AI大学講師」を共同開発し、導入を開始したと発表した。ChatGPTと学生の学習履歴データベースを連携させ、思考プロセスの可視化と個別最適化された対話型指導を可能にする。AIが大学の正式講師となるのは日本の大学教育において初の試みで、前期授業期間が終了する7月まで実証実験を行い、教育効果を検証する。
ブロックチェーン活用VCで個別指導を実現
「AI大学講師」の核心は、学生の学習全プロセスを「Verifiable Credential(VC)」として記録・蓄積する点だ。このVCとAIが連携し、個々の学習履歴に基づいた指導をする。VCはブロックチェーン技術で信頼性を担保し、教育機関が認証したデータのみを参照するため、AIによる不確かな情報の提供を防ぐとうたう。授業修了時には学習成果がVCとして発行される予定で、就職活動などでの能力証明にも活用できるという。
このAI講師は、学生との対話を通じて「なぜそう考えたか」などと問いかけ、思考の言語化と多角的な視点を育成する。現在、同大学の「web3・AI概論」で実証実験中であり、学習理解度や思考力の向上などを定量的に評価する。伊藤穰一学長は「AIは教育支援ツール。教員がより創造的な教育活動に集中できる環境を整える」と述べている。将来的には全国の大学への展開も目指す。
