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「細胞リセット」で糖尿病を克服する研究が進んでいるらしい

特集
未来を変える科学技術を追え!大学発の地味推しテック

 私が気にかけている病気のひとつが糖尿病だ。一度なると一生付き合わないといけないし、インシュリン注射は怖いし、甘いものも自由に食べられないなんて正直大変すぎる。世界には約5億3700万人、つまり10人に1人がこの病気と向き合っているという。こんなにも身近で深刻なのに、いまだに完治できないという現実。だからこそ、日ごろから食品のGI値を気にしたり、食事を節制したりと、自分なりに気を付けている。

 そんな糖尿病にも、近年“完治”を目指す治療の研究が進んでいる。アプローチは大きく2つ。ひとつは壊れた膵臓の細胞を再生させる「再生医療」。もうひとつは病気の原因となる遺伝子の働きを根本から書き換える「遺伝子治療」だ。

 その一例が、滋賀医科大学発のスタートアップ、株式会社バイオジップコードなどが研究中の「HDAC阻害剤」。

 これは高血糖でダメージを受けた造血幹細胞の機能を回復させ、正常な細胞環境を取り戻すというメカニズムを持つ。単に血糖値を管理するのではなく、「異常そのものを修復する」という方向性がユニークだ。治療というより、まるで体を「リセット」するような発想。しかも、飲み薬としての実用化を目指しているというのがうれしい。

 もちろん、まだ臨床試験や認証プロセスの途中段階で、実用化には時間がかかる。それでも、将来「糖尿病は治る病気」という一筋の光があれば、少しだけ前向きになれる。今日ぐらいはいいかも、なんて思いながら、甘いものを美味しく食べられそうだ。

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