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【レシート買取でバズったZ世代起業家】が次に挑む「あれ、保存しとけばよかった」をなくすアプリ

レシート買取アプリ「ONE」の山内奏人氏が仕掛ける “後悔しない記憶”のための新サービス「Savespace」とは?

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このスタートアップに聞きたい

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 「あれ保存しとけばよかったぁ!」数日後にそう思うことは、日常にけっこう転がっている。でも、見た瞬間は「まぁ後でいいか」とスルーしがち。そんな“小さな後悔”をなくしてくれるアプリが、「Savespace」だ。開発したのは、レシート買取アプリ「ONE」で注目を集めた山内奏人氏。2024年10月にリリースされたこのサービスについて話を伺った。

「Savespace」って、何するアプリ?

 「一言でいうと、何でもとりあえず入れとける“ガラクタ箱”です」と山内氏。ちょっと雑な説明のようだが、これが核心らしい。

 使い方はシンプル。気になる記事、レシピ、商品リンク、動画、音声ファイル……後から見返すかもと思ったら、ポンと放り込む。それだけ。現時点(2025年4月)では、URLや1GBまでのファイルに加え、最新版では音声入力やカメラ機能も搭載している。

 「スクショをアップする人もいれば、買いたいモノだけをまとめてる人もいたり。使い方は十人十色です。個人的には、もっと“ごちゃまぜ”にしてくれた方が楽しいと思ってますけど」

 キレイに整頓するより、脳の中みたいに“ごっちゃり”している方がリアル、という発想だ。

最新版は「録音」や「カメラ」機能も備える

 

脳はフォルダを作らない。だから、Savespaceも作らない

 山内氏がこのアプリで目指すのは、「人間の脳のバックアップ」だという。

「人の脳って、いちいち“この情報はこのフォルダに”なんて仕分けしないじゃないですか。見たものや思いついたことを、パッと一時保存しておける。そういうモデルに近いストレージを作りたかったんです」

 従来の“ディレクトリ構造”に対する、ある種のアンチテーゼ。それを実現するため、AIの力を存分に借りているという。

カテゴリはAIにまかせる、タグは人間の“聖域”

 Savespaceの設計でユニークなのが、「カテゴリ」と「タグ」の使い分けだ。

投げ込んだ情報は約20種類のカテゴリに自動で分類される

 「カテゴリはAIが自動で分類します。必要があれば人間が修正できるけど、基本的には触らないで済む設計です。逆にタグは、完全に人間の管理。AIは一切いじれない“聖域”です」

 例えば、「友達と行く5月の旅行」に関連するアイテムだけを「#5月旅行」のタグでまとめる──みたいな使い方ができる。でも山内氏自身は、タグをほぼ使ってないらしい。

「僕はいわゆる“ガーデニング作業”(情報の整理整頓)が苦手なので(笑)。タグはそういった分類が好きな人のために用意しました。僕みたいな人は、カテゴリーと検索に任せちゃえばOKです」

“3日坊主”でもいい。AIが続きをやってくれる

 もうひとつ、Savespaceのユニークな思想が「3日坊主を肯定する」設計だ。

「人間って、3日続けて満足しちゃう生き物だと思うんです。でも、3日分だけでもやれば、その後はAIがいい感じに処理してくれる。そんな役割分担があってもいいなと」

 この発想が、「検索」や「要約」の機能にも生きている。

 検索は、キーワードの揺れ(例:「アップル」と「apple」)にも強く、意味的なつながりまでくみ取ってくれる“セマンティックサーチ風”。音楽や動画も、自動的に内容をくみ取られて文字情報となり、検索できるという。一方の要約は、自動翻訳機能も兼ねており、非英語圏のユーザーにとってのインセンティブになっているそうだ。

「検索」の画面

「要約」は多言語翻訳に対応

 「未来の自分が“あーこれ、あのとき入れておいてよかった”って思えるようにしたいんです。少しでも大事と思ったら、Savespaceに投げてほしい。それが、未来の自分を助けることになると思うんです。情報って、すぐ役立つとは限らないけど、“保管しておいてよかった”と思う瞬間ってあるじゃないですか」

 あくまで主役はユーザー。保存された情報は“資産”であり、Savespaceはその資産を活かす“道具”。そんな哲学が、アプリの設計思想ににじんでいる。

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