皇居三の丸尚蔵館にて2025年3月11日(火)から5月6日(火・休)まで「百花ひらく―花々をめぐる美―」展が開催されます。今回の展覧会では皇室に伝わる貴重な収蔵品の中から、花をテーマとした作品(絵画・工芸・書跡)約45件で展示室を彩ります。
公開される作品の中には、とりわけ人気の高い、江戸時代に京都で活躍した絵師・伊藤若冲が描いた国宝《動植綵絵》4点も含まれます。若冲といえば鶏が有名ですが、《動植綵絵》30幅の中には、花を主として描いた魅力的な作品も含まれています。季節的にも梅や桃の花、牡丹、薔薇が描かれた4点はまさにうってつけの展示です。
ところで、皇居三の丸尚蔵館へは行かれたことがありますでしょうか? 以前「三の丸尚蔵館」と称されていた頃は知る人ぞ知るといった感のある小さな展示スペースでしたが、令和5年(2023)10月に管理・運営が宮内庁から独立行政法人国立文化財機構へ移管された際に「皇居三の丸尚蔵館」と名称を変更し、建物自体も新たに建造され、他館も羨むような最新の設備を整えた展示空間となりました。
「皇居三の丸尚蔵館」はもともと、平成元年(1989)に上皇陛下と香淳皇后により、皇室に代々受け継がれた美術品が国に寄贈されたことを機に、その保存と研究、公開のため、平成5年(1993)11月に「宮内庁三の丸尚蔵館」として皇居東御苑内に開館しました。
館名の「尚蔵」は、古代律令制において蔵司の長官「くらのかみ」をさし、大切に保管するという意味を持ちます。また、旧江戸城三の丸の地に建設されたことから「三の丸尚蔵館」と名付けられました。
その後も、香淳皇后のご遺品、旧秩父宮家・旧高松宮家からのご遺贈品、三笠宮家からのご寄贈品が加わり、現在は約6,100件(約20,000点)の作品を収蔵しています。
そんな「皇居三の丸尚蔵館」ですが、実はまだすべて完成しているわけではありません。展示室をさらに拡充すべく工事が進められています。令和8年(2026)秋に全館開館を予定していますが、工事の関係で「百花ひらく―花々をめぐる美―」展の終了後に一時休館となります。つまり今年観られる最後の展覧会となるのです! これは何としてでも観ておかないといけませんね。毎週金曜・土曜は夜間開館として午後8時まで開館しています(3月28日と4月25日を除く)。
展覧会期間中には担当の研究員が、展示作品から数点ピックアップしてやさしく解説してくれる「展示室 de 作品解説」(無料、当日の入館券必要)や、閉館後の館内を貸切りで解説が聴ける「特別鑑賞会」(有料)も用意されているので公式サイトで確認し、参加してみましょう。
また、皇居敷地内にあることから、海外から観光で訪れた人にもその存在が認知されてきていることを受け、「多言語ギャラリートーク(英語・中国語・韓国語)」も行われます。これは他の美術館に先駆けて行うもので、今後のスタンダードになるかもしれません。多言語での解説に関心のある方は、どなたでもご参加可能ということですのでこちらも要チェックです!
「多言語ギャラリートーク」開催日時:
2025年3月18日(火) 午後3時35分~(20分程度)【中国語】
2025年3月19日(水) 午後3時35分~(20分程度)【英語】
2025年4月15日(火) 午後3時35分~(20分程度)【韓国語】
2025年4月16日(水) 午後3時35分~(20分程度)【英語】
2025年4月18日(金) 午後6時35分~(20分程度)【英語】
「百花(ひゃっか)ひらく-花々をめぐる美-」
会期:
令和7年(2025)3月11日(火) ~ 5月6日(火)
前期:3月11日(火)~4月6日(日)
後期:4月8日(火)~5月6日(火・休)
会場:皇居三の丸尚蔵館
開館時間:9:30~17:00 (入館は16:30まで)ただし、3月11日(火)は13:00開館
休館日:月曜日 ただし5月5日(月・祝)は開館
主催:皇居三の丸尚蔵館
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